鼓土里座へのメッセージ

 かつて私たちは、自らの生存のために必死に働いていた。
それは時としてきびしく、つらい労働で、汗と涙の日々でした。
だがそこには歌があった。きびしければきびしいほど、
私たちは集い、歌をうたってきた。
誰かが作った歌ではなく、自分の作った歌を。
誰かのためでなく、自らをはげますために。
 一日が終ると、みんなが集まってくる場所があった。
その居場所で、私たちは歌をうたった。
下手な太鼓やサンシンにあわせてみんなでうたった。
そこで明日へむかう力がわいてきた。
下手でよかった。売り物ではないのだから。
下手でも楽しければ、それで充分だった。
自分のためにうたうのだから。

 今私たちは歌を失い、居場所を失い、みんなでうたうことを忘れた。
物は豊になったけれど、心は貧しくなった。
 この二十一世紀、私たちは心の食べ物を生産し、
みんなで食べることが、何より重要になってくるのではないか。
私たちはもう一度集い、もう一度歌を、うたをうたわなければ、
人間らしい人生を送ることが出来ないのではないか。

 そのための居場所が完成した。こんな素晴らしいことはない。
土着民 万歳!
 そして、そこに集まる人びとよ、永遠なれ!
          
               2003年 9月14日  笠木 透